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シリコンバレーでは卵子凍結や体外受精が会社の福利厚生でカバーされる時代に。

シリコンバレーでは卵子凍結や体外受精が会社の福利厚生でカバーされる時代に。
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この記事をザックリまとめると…
  • シリコンバレーでは不妊治療に関する処置を福利厚生としてカバーしているかどうかが、人材確保の上で重要視されるようになってきている
  • Carrot Fertility社の”Carrot”を利用すれば、従来の卵子凍結などの福利厚生では対象外だった性的にマイノリティな方々も、子どもを産むための処置を会社からの福利厚生で享受可能になる


今回は育児が始まる前のところ、妊娠に至る過程の部分に携わる企業・サービスを紹介します。

 

TechCrunchForbesにて、「アメリカのシリコンバレーに本拠地を置くCarrot Fertilityが2017年9月14日に$3.6M (約4億300万円 ※$1 = 112円換算) の資金調達をした」という記事が出ました。

 

Carrotのチームメンバー(左から順に) : Max Radomsky, Tammy Sun, Juli Insinger, Arun Venkatesan. (引用元:TechCrunch)

 

このスタートアップ企業のCEOの女性が、実は私の夫の元同僚で、2年程前までEvernoteというスタートアップ企業の同じチームで仕事をしていました。そこから、全く違う分野へ足を入れ、事業を立ち上げ、今回纏まった資金を調達して活動しているのを見て、常に変化するシリコンバレーの凄さを改めて実感しました。

 

それでは、ここからはTechCrunch・Forbesの記事の意訳を交えつつCarrotのサービスについて紹介します。

 

不妊治療を取り巻くアメリカでの状況

アメリカでは不妊治療は珍しくなく、技術も進んでいます。

 

卵子凍結だけでなく、体外授精、卵子・精子提供、代理出産制度、着床前診断、男女産み分け、LGBTQ (Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender and Queer or Questioningなどを指します) カップルが子どもを持つ為の治療など、受けられない治療はないといっても過言ではありません。しかしながら、これらはほとんど保険適用外の為、自己負担が100万円をはるかに超えてしまいます。

 

そこで、シリコンバレーのテクノロジー関連企業 (※以降、テック企業) では、よりよい人材を確保するために、AppleやFacebookなどを始めとして、卵子凍結を会社の福利厚生として提供しているところもあります。

 

起業に至った背景

現在Carrot Fertility社の創業者兼CEOのTammy Sunさんが2年前に受胎検査をした所、卵巣予備能 (卵巣が受精可能な状態へと卵子を成熟させる予備力を指し示す言葉) の値が極端に低かったため、30代前半でしたが、卵子を凍結することに決めました。

 

ところが、当時働いていたEvernoteの福利厚生では卵子凍結サービスがありませんでした。彼女が卵子凍結を決断した時には約$30,000 (約336万円) という巨額な金額が自己負担で行われました。この間、何本もの注射を受け、幾度となく医者の下へ足を運ぶ必要があり、いろんな意味での負担が大きかったのです。

 

Evernoteでは、より生産性を高めて、社員の生活をよりよいものにする為のありとあらゆる福利厚生があって、とても充実していたけど、会社もこの件に関してなんとか対応できないかと色んな術を探してくれたけど、結局会社としてできることがなかったの。だからとても高額な資金を結局全額自己負担しなければならなかったのよ。それで、この問題を解決する為に私は会社を辞めることにしたの。

 

そこから、2年間、共同ファウンダーとなったAsima Ahmadさんと一緒に協力してくれる企業のリサーチをし、その後スタートアップインキュベーターのY Combinatorを経て、Carrot Fertilityを設立しました。
これで、どんなサイズの会社でも、従業員が望み、会社がOKするのであれば、体外受精 (IVF =In Vitro Fertilization) や、卵子凍結などの不妊治療を従業員に対して手頃に提供することが可能になりました。

 

福利厚生として提供する意義

体外受精や卵子凍結を会社の福利厚生とすることに関しては、社員に家族計画 (子どもを産むこと) よりも仕事を優先させている、などと物議を醸していて、何かと批判の的ともなっています。

 

色んな議論がある中、オンラインでHR事業を展開しているGustoという会社の人事部長のKatie Evans-Reberさんは人材採用をする過程で下記のように述べています。

 

採用の面談の中でも、LGBTQ の方々や夫婦を対象に、卵子凍結や体外受精不妊治療に関する福利厚生を提供しているのかどうかという質問を受けることが多くなりました。女性を含め、女性のみならず、より多くの人材を採用するにつけては、このサービスがとても重要なんだと感じています。こういったサービスを提供しているというのは私たちの会社の価値観も反映することになります。私たちの企業文化は家族に寄り添ったものです。

 

Carrot Fertility社が2016年に実施した統計によると、一般社員の42%にのぼる人々がこの不妊治療に関する福利厚生のメリットを受けるためなら転職もすると回答しているそうです。

 

Carrotの事業内容

Tammyさんとチームのメンバーは、福利厚生の一環での不妊治療がより多くのシリコンバレーのテック企業で採用されるようになることを目標に、今回約4億円のシード投資を受けました。

 

Carrotの利用方法はいたってシンプルです。

 

自分の勤め先に対して不妊治療のサービスを提供してもらいたいという従業員がいれば、彼らはCarrotのウェブサイトに登録します。その後、Carrotがその会社のHRと連携して、従業員に対して提供するメリットをカスタマイズして決定します。会社でCarrotが導入されると、社員はCarrotの専門チームと、オンラインで相談に乗ってもらいながら、自分に最適な治療プランを立ててもらうことができます。その後、社員は自分で選択した医療機関や医師の下で、卵子凍結、体外受精、子宮腔内受精やその他の処置を受けることができます。会社は、社員が自己負担した金額のうち、福利厚生で定めた金額を社員に直接返済するという手順になります。

 

Carrotのメイン画面。サイトでは、まず従業員なのか雇用主なのかを確認されるようになっています

 

一方、このような不妊治療のサービスを保険会社を通して提供している会社では、卵子凍結などの処置を開始する前に、医者による不妊症との診断の提示が求められます。

 

この場合、LGBTQの方々は門前払いを受け、多くのケースで、彼らは会社の福利厚生の家族計画の利益を受けることができないのです。

 

Carrotでは、すべての人への門戸を開くべく、最初の医師による診断の必要性を省き、従業員に直接受けたいサービスや処置してもらいたい病院などを自分で選択できるようにしました。

 

Tammyさんはこの点に対して次のようにコメントしています。

 

最近の職場では、不妊治療の利用に関しては色んな事例があるんですよ。ゲイやレズビアンカップルなら、精子や卵子のドナーを見つけて、医者の診断無しに体外受精を受けることになるでしょう。ストレートやゲイに関わらず、将来のために卵子を保存したいというカップルもいるでしょうしね。

 

 

Carrotというサービスは従業員にあらゆるダイバーシティーを求めるシリコンバレーだからこそ生まれてきて、かつ、広がりつつあるサービスだと思いました。

 

不妊治療は時間とお金と体への負担も大きいものだと言いますが、日本でも、社員が家族を持つために・社員がより幸せになるために、社員が望むのであればそれが可能になるような福利厚生を提供する会社が増えるといいですね。

参考サイト

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